法基通9−6−3(2)の取立費用に満たない場合とは (法人税)

 

Q.法人税基本通達9−6−2(2)において、取立てのために要する旅費その他の費用に満たない売掛金は、備忘価額を控除して貸倒損失が認められます。次の場合は、認められますか。

 売掛金額 15万円

 債務者に何度も督促しましたが、回収の目処は立っていません。弁護士に相談に行ったところ、資産調査及び差し押さえ等の法的な督促行為を勧められました。費用の見積は、次の通りです。

 資産調査費用 10万円
 督促費用(着手金) 10万円
  〃  (裁判費用) 30万円

 弁護士依頼時に、初期費用として資産調査費用及び督促費用の着手金の合計額20万円が必要です。さらに差し押さえなどの取立訴訟の裁判を行った場合は、追加で30万円の支払いが必要です。

 債務者の資産状態は分かりませんので、弁護士に依頼するしか、これ以上の回収方法はないと考えられます。

 

A.見積金額が社会的通念上相当で、他の弁護士の見積を取得しても、金額にそれほど差がない場合、売掛金額がその取立てのために要する費用に満たない場合と判断しても、合理的と考えられるため、貸倒損失は認められると考えます。

 


 

 法人税法基本通達9−6−3(2)では、当該売掛債権がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないときは、備忘価額を残して貸倒損失を認めています。

 

 今回の様なケースは、初期費用は売掛金額を超えてしまっています。取立訴訟を行った場合は、さらに費用が発生します。

 

 取立訴訟の結果、売掛金は回収できるかどうか不明で、さらに弁護士費用も請求はできるものの回収できるかどうか、不明です。

 

 このような場合、弁護士に依頼しない方が、経済合理性が高いと思われますので、その取立てのために要する費用に満たない場合と判断して差し支えないと考えます。

 

 なお、法人税法基本通達9−6−3(2)では、「支払いの督促」も要件になっていますので、社会通念上、一般に考えられる程度の督促を行う必要があることに留意して下さい。

 

 貸倒損失が認められる場合、経理会計仕訳の勘定科目は、「貸倒損失」がいいと思います。

 

(参考条文)

 

法人税法・所得税法・会社法 税法令条文検索ソフト TAX Navigator

 

法人税基本通達 9−6−3
一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ

 

債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない。以下9−6−3において同じ。)について法人が当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、これを認める。
(1)債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)
(2)法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき
(注)(1)の取引の停止は、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合をいうのであるから、例えば不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない。

 

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